以前紹介した「渋味」の続編
市田柿生産者を目指す方は必見ですよ!
渋味成分の「タンニン」は、実はポリフェノールの一種なんですが、「市田柿」は「タンニン」含有量が多い柿なんです。
ということは…「市田柿」ってとても渋い柿なんです…(;゚Д゚)ヒェーッ‼
一般的には、干柿に加工する原料柿は大ぶりが良いとされていますが、理由は、大ぶりの柿は水分量があるため、じっくり干し上げられることからです。=「渋味を抜きやすい」ということです。
逆に“小ぶりの柿”は早く乾燥してしまうため渋抜きがしづらいという事になりますね…(・・;)
という事は…「市田柿」ってどうなの!?
- 小ぶり…(・・;)
- 渋み成分であるタンニン含有量の多い渋柿…(+_+)
非常に脱渋し難い性質の原料柿という事なのです…(ToT)/~~~
「干柿」に仕上げるには難しい品種なんだね…(・・;)
これは困った…。
市田柿|産品紹介|地理的表示産品情報発信サイト (maff.go.jp)
登録の公示(登録番号第13号):農林水産省 (maff.go.jp)
登録産品紹介(登録番号第13号):農林水産省 (maff.go.jp)
でも、「市田柿」って美味しいよね!
作りづらくても、南信州地域の匠たちは上質な市田柿を作り上げる加工技術を持っているからです!
多くのベテラン農家さんが「市田柿は毎年勉強だ」と言いますが、それは本音なんでしょうし、そういった謙虚で前向きな気持ちを持っている農家が多いからこそ、難しい柿であっても良質な干柿に仕上げることができる産地なんでしょうね。(^^♪
今後、市田柿農家を目指すみなさんには地域の先輩農家さんのように、まずは毎年、毎年、一定のクオリティの「市田柿」を作れるようになる事が先決なんだということを理解しておいていただきたいと思います。
さて、そんな仕上げるのが難しい「市田柿」という事は理解いただけたと思いますが、「じっくり干し上げる」ための秘訣は南信州独特の自然環境にもあるんです。
【天竜川の川霧】
南信州地域には北から南へ天竜川が流れており、その自然現象が「市田柿をじっくりと干し上げる」には不可欠なんです。
「市田柿」生産地域は、天竜川の両岸に続く河岸段丘に広がる果樹地帯であり、柿の収穫期にあたる晩秋から初冬には、朝夕の冷え込みにより天竜川から川霧が発生し、河岸段丘を昇ります。
天竜川の両岸に広がる段丘地帯
この川霧効果によって、干柿の生産に「絶好の温度と湿度」の条件が整い、”小ぶり”な「市田柿」でも「じっくりと干し上げる」ことができ、「市田柿の」の独特な食感や白い粉化粧をまとった「市田柿」を生み出すのに大きな効果をもたらしています。
11月の朝に撮影した画像です。
喬木村周辺
高森町周辺
伝統ある加工技術と、南信州独特な自然現象によって「市田柿」が仕上がっている訳です。
「市田柿」が地域の特産品として長い期間継続できたところには、先人の生産者から現在の生産者までずっと、市田柿を購入する皆さんの期待に応えてきた結果だと思います。
それは「期待を裏切らない品質の市田柿」を安定的に生産してきたことだと思います。
今後、南信州で「市田柿」の生産を目指すみなさんには、先人の生産者が実践してきた、「向上心をもって地道に努力を重ねていくこと」を大事にしていただきたいと思います。
干柿の中で特に難しいとされる「市田柿」ですから、まずは先輩農家さんのように「期待に応えられる品質の市田柿」が毎年作れるようになることがなによりも大切です。